動脈管開存症

ご無沙汰しています、かずよです。

最近、夏海ちゃんがほんわかしたブログを書いてくれているので、タイトルをどうしようか悩んでしまいました（汗）いつもみてくださっている方にもしかしたら不評かもしれませんが、今日は子犬ちゃんの心臓病で比較的多い、動脈管開存症のお話をしようと思います

子犬ちゃんで心雑音が聞こえた場合、先天性の心臓血管系の異常があることがあります。



この子は、健康診断の時に心臓に雑音が聞こえたので、くわしい検査をすることにしました。

雑音は左心基底部で連続性に聞こえたことと


このように主肺動脈内に入り込む血流を確認し、


連続波ドプラ法で連続性であったことから、動脈管開存症と診断しました。

動脈管は大動脈と肺動脈をつなぐ管で、どの子犬ちゃんももっているものですが、生まれてくると閉じてしまうのが正常です。

これが生まれてからも閉じずに残っていると正常な血液の流れにならずに、左側の心臓に負担がかかり、そのままにしておくと１年以内に半分以上の子が亡くなってしまいます。根治的な治療は手術またはカテーテル治療になります。

また図のように初期の状態だと動脈管を通じて大動脈から肺動脈に血液が流れる左→右短絡と言われる状態なのですが、


進行すると反対の肺動脈から大動脈に血液が流れる右→左短絡になり、この状態になると手術などの根治的な治療は不適応となります。

幸いこの子は無症状で検査の数値でも治療できる状態だったので、飼主さまと相談して、当院で手術することになりました。

難しい手術でしたが、本人が頑張ってくれたので、無事終えることができました。手術後すぐにご飯を食べれくれて、体は小さいながらタフな子です

今、術後数週間ですが、心臓の雑音も消え、経過は良好です

動脈管開存症は、進行してしまうと、治療の選択肢がかぎられてきてしまう病気です。症状がないうちに、手術などの治療を考えていただくことが大事な病気の一つになります。


もちろん手術ということは一大事です。医療だけが先行してしまう治療では意味がありません。相談をしながら、一番良い治療法を検討していきますので、もし不安なことがあれば、何でもご相談ください

うーん、書いてみたらやっぱりちょっと重い話でしたかね。心臓ってなんだか難しい感じになるんですよね。次は皮膚病にしようかなー（汗）